カートが空です。
タバコと歯周病|知っておきたい喫煙のリスクと禁煙のメリット
「タバコが体に良くない」ことはよく知られていますが、お口の健康、とくに歯ぐきに大きな影響を与えていることは、意外と知られていないかもしれません。
実は、毎日どんなに丁寧に歯を磨き、歯科医院に通っていても、喫煙を続けていると歯周病がなかなか良くならない——そんなケースが少なくないのです。喫煙は、歯を支える歯ぐきの健康を静かに脅かしています。
このコラムでは、タバコがお口と全身にどのような影響を与えるのか、そして禁煙がもたらすメリットについて、分かりやすくご紹介します。
Contents
タバコに含まれる、3つの有害物質

タバコの煙には、約4,000種類もの化学物質が含まれ、そのうち200種類以上が有害物質といわれています。なかでも、とくに有害とされるのが次の3つです。
ニコチン
強い依存性(麻薬性)があり、喫煙の習慣をつくり出します。さらに、末梢の血管を収縮させ、心拍数を増やし、血圧を上昇させる働きがあります。お口の中では、歯ぐきの血管を収縮させてしまうことが問題になります。
タール
いわゆる「ヤニ」の正体で、発癌性があるとされています。歯の表面に付着して着色の原因にもなります。
一酸化炭素
血液中で酸素を運ぶ働きを邪魔します。全身に酸素が行き渡りにくくなり、お口の組織にも影響します。
なぜ、タバコは歯ぐきに悪いのでしょうか

タバコは、歯を支える歯周組織に、いくつもの形で悪い影響を及ぼすと考えられています。喫煙が歯ぐきに良くないとされる主な理由を見ていきましょう。
歯ぐきに酸素・栄養が届きにくくなる
タバコに含まれるニコチンは、歯ぐきの血液の流れを悪くします。そのため、歯ぐきに酸素や栄養が十分に行き渡らなくなってしまいます。
細菌と戦う力が弱まる
歯ぐきの抵抗力が弱まり、細菌と戦う白血球の働きが半分程度になるといわれています。その結果、免疫力が弱まり、歯周病菌に対抗しにくくなります。
歯垢・歯石がつきやすくなる
タバコは唾液の分泌を抑えてしまうため、お口の中が乾きやすくなり、歯垢や歯石がつきやすくなります。歯垢・歯石は歯周病の原因になります。
自覚症状が出にくく、気づきにくい
喫煙によって歯ぐきの血流が悪くなると、歯周病が進行していても、出血などの自覚症状が出にくくなることがあります。「症状がないから大丈夫」と思っているうちに、気づかぬまま進行してしまうことも少なくありません。
喫煙量が多いほど、リスクは高まります
喫煙と歯周病の関係を調べた研究では、タバコの本数が多く、喫煙期間が長いほど、歯周病になりやすく、重症化しやすいことが報告されています。
喫煙量を表す「Pack-Year(パックイヤー)」という単位があります。これは「1日の喫煙箱数 × 喫煙年数」で計算するもので、たとえば1日1箱を10年間吸えば10 Pack-Yearとなります。ある研究では、このPack-Yearが大きくなるほど、歯周ポケットが深くなるリスク(オッズ比)が高まることが示されています(Nishidaら、2005年)。
インプラント治療にも影響します
喫煙の影響は、歯周病だけではありません。歯を失った後のインプラント治療においても、喫煙者は非喫煙者に比べて、治療がうまくいかない(インプラントが定着しない)リスクが高いことが報告されています(Bain、1996年)。喫煙は、お口の健康を取り戻す治療の妨げにもなり得るのです。
なお、これらの数値は研究で報告されたものであり、すべての方に必ず当てはまるわけではありません。
歯を守るために、禁煙という選択を
ここまでお伝えしてきたように、喫煙はお口の健康、とくに歯を支える歯ぐきに、さまざまな悪影響を与える可能性があります。
残念ながら、タバコを吸っている方は、いくらきれいに歯を磨き、歯科医院に通っても、歯周病がよくならないことが多いのが実情です。だからこそ、歯の健康を本気で守りたいと考えるなら、まず禁煙に取り組むことをおすすめします。
禁煙がもたらすお口へのメリット
禁煙によって歯ぐきの血流が回復すると、酸素や栄養が行き渡りやすくなり、細菌と戦う力も戻ってくると考えられています。歯周病の治療やケアの効果も、得られやすくなります。お口の健康のためにも、禁煙は大きな意味を持ちます。
当院でできるサポート
「禁煙したいけれど、なかなか難しい」という方も多いと思います。当院では、喫煙が気になる方に対して、お口の状態を確認しながら、歯周病の予防やケアをサポートしています。喫煙とお口の健康について気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。お口の健康から、全身の健やかな毎日を一緒に守っていきましょう。
タバコをやめることは、簡単ではないかもしれません。けれど、それはお口だけでなく、全身の健康への大切な一歩になります。
※本記事で紹介した喫煙に関する数値は、研究報告(Nishidaら2005、Bain1996 ほか)に基づいています。


